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2019/12/17 11:49



魔除け、厄払いのお守りとして、女の子が生まれた初正月に贈られる「羽子板」。

ご来店されたお客様から、「値段の違いがわからない」「どうやって選べばいいの?」と言ったお問い合わせをよくお受けします。

今回は「羽子板」について、詳しく説明させていただきます。

「羽子板」と聞いて、幼いころに「羽根つき遊び」をしたことを思い出した方もいらっしゃるのではないでしょうか。室町時代にはこの羽根つきを「胡鬼の子勝負」といい、正月の年占いとして、末広がりの形をした胡鬼板(羽子板)で胡鬼の子(羽根)をつき、その年の平安を祈願したといわれています。江戸時代には、胡鬼板(羽子板)に金箔を施した上に、宮中の左義長の儀式の風景を描いた「左義長羽子板」というものが、厄除けとして、貴族への贈り物に用いられました。やがて、その羽子板に美人画等が描かれるようになり、江戸後期からは押絵の技法を取り入れて、歌舞伎や能狂言を題材にしたものが作られるようになりました。

羽根つきで使用される羽根の玉には、「無患子(むくろじ)」という大木の種が使われています。その名の通り「子が患わない」という意味を持ちます。蚊による伝染病が蔓延していた時代、羽根の玉を蚊を食べるトンボに見立てて打つことで、「子どもが蚊に刺されないように」との願いも込められていました。羽子板で様々な邪気を「はねのける」といった意味もあります。

そういった羽根つき遊びと、江戸時代に流行った押絵羽子板が結び付き、女の子が生まれた初正月のお祝いとして贈られるようになりました。一生に一度だけの贈り物となりますから、こだわって選びたい方もいらっしゃると思います。羽子板の種類や選び方のコツをご紹介しますので、参考にして頂ければ幸いです。

「羽子板」には、ケース入り・壁掛け・出し飾りなどがあります。ケースに入った物は、出し入れも手軽で、ほこりがつかず掃除も簡単です。小さいサイズの多い壁掛けタイプは、リビングや寝室の空いているスペースや、子供の手が届かない高いところにも飾れます。出し飾りは、ガラスケースには入っていないので、お子さんが誤って倒してしまった際もガラスが割れる等の心配がありません。

玄関、居間、寝室など、「羽子板」を飾る場所に決まりはありませんので、ご自宅でどこに飾るかを考えてから選ぶのもひとつのポイントとなるでしょう。

当店では、羽子板のサイズもチェストの上に飾れるような小さくコンパクトなものから、和室の床の間に飾っても見劣りしない迫力の大きさのものまで、様々な種類を取り揃えております。online shopでは洋間にも合うモダンなデザインの羽子板をご紹介しております。

羽子板には、プレス羽子板、木目込羽子板、押絵羽子板といった制作方法があります。プレス羽子板は、金糸などで紋様を織り出した織物『金襴』などの生地を厚紙に貼り付け、プレス機で熱を加えて作られます。生地の端を筋彫りに押し込む作業を決め込む(木目込む)ことから、その名がついたという木目込羽子板は、衣装を着ているように仕立てるのが特徴です。立体感のある美しい絵柄が魅力の押絵羽子板
は、型紙に綿をのせて羽二十の布でくるみ、さらに表地で包んで、何百ものパーツを組んで立体的に仕上げます。当店では押絵羽子板をメインに扱っております。

羽子板の衣装には、絞りや金襴、正絹に刺繍が施されたものなど、こだわった生地を選んでおります。また、お顔はひとつひとつ職人の手で描かれていますので、表情がひとつひとつ違います。羽子板に合わせるケースも、黒塗、曙塗、溜塗、檜、桐など様々な種類がありますので、そういったポイントに注目して選ぶとよいでしょう。最近では、羽子板につまみ細工などがあしらわれたシンプルなものもございます。

生まれた赤ちゃんのことを想いながら、長く飾れるように、お好みのデザインのものを選ばれるとよいでしょう。

贈られた「羽子板」は、12月中旬頃からお飾りするのが一般的です。飾る期間に決まりはないので、お正月の期間だけ飾ったり、雛人形の脇飾りとして飾っても、年間を通してお飾り頂いても構いません。ご家族の方と相談して、ご自宅にあった方法でお飾りするとよいでしょう。

また、「羽子板」は魔除けとなる物なので、生まれた赤ちゃん一人につきひとつひとつ贈ります。二人目、三人目の赤ちゃんが生まれた際も、初正月を迎える年に新しく用意するのが習わしとなっています。一人目と同じサイズ、または一回り小さいものを選ばれる方が多いようです。

令和を迎え、日本の伝統文化は縮小しつつあります。赤ちゃんの初正月をお祝いする「羽子板」、長く続いてきた風習を絶やさないためにも、生まれた赤ちゃんの健康を願い、お飾りすることが大切なのではないでしょうか。